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ガンダムORIGINにおけるドラマ考

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先月号は普通にスルーしてしまったぜ…

以下ネタバレー


続き


あれですね、ちょっとやってしまいましたねまた。
安彦先生らしいっちゃらしいんですが。

アムロとフラウが(ほぼ)決定的に関係が悪化する回でした。
ソーカントクはこういうやり方をしないんだろうなぁ…っていう感じで
いかにも安彦さん的ではあります。討論大好きな感じです。

腹にすえかねることがあった時、それをそのままブワーっと
全部しゃべっちゃうのが安彦先生のドラマ作りにおいて
個人的に気に入らないところでして、今回もそんな感じで気まずくなりました。
富野監督、というか原作ではそういうことをあんまりしないんですね。
まだなんとかなる、会話が出来る状態でも、思っていることをそのまま言わず
全く別の話をしながら、でもちゃんとお互いは話が通じてるよ、という作りかたで、
ある時突然決定的に仲違いするというより、段々距離を置いていって
いつの間にか…という作り方をします。
フラウもそうですけど、例えばレコアさんなんかもそうですね。
そのへんのドラマ作りの繊細さが、オリジンには足りないのかなーとか
不肖俺様ごときが思うわけであります。

オリジンのキャラクターが全体に余裕がないなーと思うのも、
そのへんの違いかなと思います。直接的過ぎるといいますか。

例えばミハルの回、「お前の情報くらいでこんなに攻撃されねえよ」と
ミハルを気遣うカイの余裕(好意の表れでもある)が、オリジンだと
「ちがうぞミハル お前のせいじゃない あいつらは最初から…」と
あせった表情でなだめるカイになっちゃっているんですね。
今まさに攻撃されている非常時なわけで、安彦カイのほうが当たり前なわけですが
カイ・シデンというキャラクターと、今後のドラマの展開を考えた時には
ニヒルな性格とさりげない好意を同時に表現したオリジナルの方が
悲劇の演出としてうまい、と僕は感じます。

絵で喜怒哀楽、その間の微妙な表情も描き分けられてしまう画力が仇になり、
その時の心境をそのまま見事に表情にしてしまうせいもあって、
なんだか余裕がない登場人物、微妙な位置関係を許さない
ギスギスしたやりとりが 多いということは、ラル編より後あたりから感じることです。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0810/31/news118.html
↑の4ページ目で富野氏の金言があります。

「ビジネスを大きくしたいなら、そこで必要なのはチームワーク。
悔しいけど相手の技量を認めるということです。
僕は例えば安彦君の技量は全部認めます。
あの人の人格は全部認めません。
大河原さんの技量は認めません。大河原タッチは大嫌いです。
でもそれは絵のタッチのこと、デザインはまた別です。
「惚れたら全部正義」と思うのがいけない。
何を取り入れて何を捨てるか、ということをしなくてはならないんです。」

チームワークゆえに何重にも練られ、何度も解釈が入った原作に対し、
安彦先生一人によって作りなおされ、視点が偏ってしまったオリジン、
勿論原作より素晴らしい部分がストーリーにおいても多々あると思いますが、
人間ドラマの複雑さ、微妙な匙加減で劣るように僕が感じるのは、
もしかしたらこのへんが理由かも知れませんね。

コメント一覧

エイケム - 2009/01/28 (水) 17:09 Edit

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とみの野郎の口調は荒いけど、同意できてしまうのが悔しいね!

kobby - 2009/01/28 (水) 19:12 Edit

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えいけむ君は嫌いなタイプなのかもしれないと思ったら
案外そうでもないのかな笑。一部に熱烈な信者を持つくらい
この人の物言いは不器用ながら辛辣で面白いんよねー。
僕らには耳が痛い言葉も多数。ちくちく。

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