第二話 「右親指、血に染めて」


割と一気に進みます。覚悟はいいか?オレはできてる

■ネックの削りだし・木の下塗り■
ボディと同様に、ホウの木を使います。扱いやすいんですもの。
そしてやっぱりボディと同様、プリント写真作戦。

プリント写真作戦の場合は、できるかぎり正面からの写真を探しましょう
斜めからとったもので作ると全体が歪んでおかしなことになります。

同じパーツを使っている違うモデルの写真を探してくるのもいいです。
そのとき、サイズ変更は必ず弦の長さを基準にやりましょう。
テレキャスはロングスケールなので約648mm、1/6で108mmになるように
写真の解像度を調整して印刷しましょう。
外形を切る作業はボディと一緒なんで飛ばします。
外形を切り出したら、ネック裏を丸く薄く削ります。
ここは普通のデザインナイフでひたすらザクザク。
もちろんあとで調整するためにやや余裕を持って太めに。

このとき気を付けるべきなのは、ネックの接続位置です。
テレキャスの場合ジョイント位置は16と1/2フレットの位置ですので、
そこよりボディ側は真四角のまま削らないでおきましょう。
残す部分と削った部分は、ゆるい弧で結びます。
写真はかなり極端にやっています。自分のギターを見て研究してください。
ある程度削れたらやすりがけして滑らかにします。
このときネックを細くしてしまわないように、ネックの裏だけをやすります。
…そこまで神経質にならなくても大丈夫ですけどね。

ネックは曲面が多く、フラットトップのミニチュアを作るときには、
ボディよりネックのほうが作っていてそれっぽくなっていく楽しさがあります
大体削れたらちょっと実際に握ってみたり。
はい、こんな感じに削れました。ボディと一緒に。
ネックとヘッドの付け根、見えますかね?
ここがゆるいカーブでなめらかにつながるとすごく「ぽく」なります。

…って、こんな話にどれだけの人がついてこれるんだろう笑。
ネックの写真をはがして、ボディにきっちり入るように調整しました。
最終的に塗装が乗って、その厚みでより太くなるので、
この段階でマージンを含めてきっちりはまるようにして大丈夫です。

いいね。それっぽいね。
と一人で喜びながら撮ったんでしょうねこの写真。
このテレはローズウッド指板なのですが、
白いホウの木を指板面だけ茶色に塗っても面白くないので、
ブビンガという、ベースのボディや指板に使われる木の細板が
ホームセンターに売っていたのを買ってきて、これを指板にします。

フェンダー系といえばきつめのRがついた丸い指板、
ということで、丸い凹みのある木を当て木にして、
紙やすりでRをだしていきます。
削ってます。ガーリガーリ。
このブビンガ、ローズウッドより色は薄いのですが、
クリアを吹くと大体色が濃く感じるようになるので、
最終的には多分いい具合になるはず…と踏んでいます。
せっかく指板をブビンガにしたのに、ポジションマークが塗装じゃつまらん!
ということで、実際に穴をあけてプラを埋め込んでいくことにしました笑。

裏に指板の写真を貼って穴を貫通させます。
うろ覚えですが、たしか1..2mmくらいの穴を空けていきました。
そこにプラ棒を切って刺して接着剤で止めます。

そうそう、この時代のフェンダーは12フレットのポジションマークの
2個の点が比較的遠い…とかどうでもいいところ忠実です。
さっきのRつき当て木でやすりがけして
Rのついた指板とプラのポジションマークをツライチにすると…
おー指板に見えますね。

とかいいながらこの写真を撮ったのでしょう。
ネック編、えらく写真多いな。
また写真を…今度は表に貼って、フレットの位置にキズをつけておきます

ここでもアートナイフ平刀大活躍。ななめのナイフを横からやるより
比較的平行がズレにくい気がします。気がするだけかも。
はい、もう一本作ります。今度はメイプル1ピースネック。
メイプル1ピースネックは指板を貼り付けてないんで、
裏から溝を彫ってトラスロッドを仕込んで、茶色の木で溝にフタをするため
「スカンク・ストライプ」という茶色い筋ができます。

それを塗装でやるのも「?」だったので、また出てきましたブビンガ。
ローズネックと同様に彫ったメイプルネックの裏に、超硬タガネで溝を彫り、
そこに厚みを半分に落としたブビンガを埋めることに。

まさか木の加工で美唄モデラーズのタガネを使うとは。でも超便利です
はい、埋めました。また瞬着で固めて削るわけですね。

ちなみにこのネック、いかにもさっさか作ったように手順飛ばしましたが、
実際にはこれ作る時に右手の親指をザックリ切ってます。
僕が褒めてたアートナイフPROの平刃で親指の腹を深々と。

5日くらいバンドエイドで圧迫してたらくっつきましたけど、
そのときは血がネックに垂れて作り直しかとおもいました。
ヤスリをかけたらなんとか分からなくなったので助かりましたが。
これもツライチにするとかなりそれっぽくなってくれました。
んーブビンガちゃん、いい仕事してくれるじゃないの

あと皆さんにはナイショで、いつの間にか裏にコンター加工しました。
コンター加工ってのはお腹があたる部分のカットですね。
ついでにボディ裏のエッジだけ丸めました。
アメリカンシリーズのテレキャスターの仕様です。


段々写真と写真の間が飛び始めました。全部ディアボロの仕業です。
過程は全て吹き飛び結果だけが残るッ
メイプルのほうにも穴をあけ、プラ棒を刺してポジションマークにしました。
本当はアヴァロン貝なんですが、パーロイドとかないんで真っ白で…
んでフレット溝も彫ったりして、木工はひととおり終了。

ここで全体の木目を埋めて、ツルツルにするため
ボディとネックに油性のサンディングシーラーを筆塗り。
乾燥したあとやすりがけして、きれいな平滑を出していきます。

フレットはクリアをかぶせたくなかったので後から接着することにしました。
ので指板もシーラーを塗ってやすりがけ。

色がちょうどいい具合に濃くなって、ローズ指板っぽくなった!とかいって
喜んでこの写真撮ったんだと思います笑。


…このへんに経験の無さが出ますね。これが後に裏目に出るのでした。
詳しくは後ほど。
はい。木工および下地処理が終了してこんな感じになりました。
大きさ比較のためのピックとギターマガジンと一緒に。
いつの間にかピックアップキャビティやら彫ってますね笑。
ま、これはデザインナイフで外形を切った後彫っただけなんで。


ついでにチャッチャとピックガード作ってしまいました。
プラ板工作はプラモで慣れているので早いです笑。

ピックガードって実は「白・黒・白」のサンドイッチ構造になっていて、
エッジを斜めに削ることで白と黒の縁取り線がピックガードを囲んで
デザイン上のアクセントとして目立たせるようになっています。

0.3mmプラ板2枚を黒い瞬着で接着すれば、白と白の間に黒い線が入って
3プライを再現できるのではないかと思って1回やってみましたが、
黒瞬着は接着力が弱く、形を整えていくうちに剥がれてしまったので、
「黒瞬着を高強度接着剤で溶いたもの」で貼り合わせてみたら、
今度はめでたく3プライのピックガードができました。やったね!


…でもこの話には続きがありまして、後で気付いたんです。
3プライはアメリカンテレだけかと思ったら両方ともでした…
どうしよう。62年のほうは普通に5mmプラ板で作っちゃったよ。

すいません。懺悔。


次回、初めてのエアブラシ塗装、その経験の無さが招くミスの数々に
人生初のシンナー風呂行き、それでも時間は無情に過ぎていく…
宮崎から東京へは郵送で2日かかるぞ、
当日まであと4日、果たして結婚式に間に合うのかっ
次回、「郵送への限界時間(タイムリミット)」乞うご期待…しないでね!

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